ソフト会社って何なん?(第2話)無料現状調査の正体

「無料で現状調査します」の正体

「無料」という言葉の意味を考えたことはありますか?

営業マンは帰り際にこう言います。

「次回はSEを連れて現状調査をさせてください。」

あなたは、「無料ならお願いしよう」と思うかもしれません。

しかし、この「無料」という言葉の意味を考えたことはありますか。

無料という言葉には、多くの人が安心感を持ちます。

しかし、考えてみてください。

会社がSEを派遣し、現場を見て、調査を行い、分析書を作る。

これには当然、人件費がかかっています。

では、その費用は誰が負担しているのでしょうか。

もちろん、その時点では請求されません。

多くの場合、この費用は将来の受注を見据えた営業活動の一環として会社が負担しています。

もちろん、このような営業活動自体が悪いということではありません。

大切なのは、「無料」の背景を理解したうえで調査を受けることです。

つまり、この「無料」は何も目的がない無料ではありません。

現状調査が始まる

数日後、30代くらいのSEがノートパソコンを持って現れます。

現場を見て、担当者へ質問をして、メモを取り、

「ありがとうございます。持ち帰って分析します。」と言って帰ります。

まだ導入を決めたわけでもないのに、調査だけが進んでいきます。

そんな状況に、少し戸惑いを感じる方もいるでしょう。

「無料だから」と、あまり深く考えずに調査を受けてしまうこともあるでしょう。

本当に、会社の業務や課題を分析できるのでしょうか?

ここから私の経験を書きます。

私は何度も、その「現状分析書」を作る側にいました。

しかし、ある疑問をずっと感じていました。

担当するSEは、あなたと同じ業界のシステム開発に、どのような立場で、どれだけ携わって

きたのでしょうか。

在庫問題であれば、在庫管理システムの設計や導入を何社、何年経験しているのでしょうか。

在庫管理システムに携わったと言っても、その内容は様々です。

仕様書を見ながらプログラムを作っていたのか。

詳細設計書を書いていたのか。

基本設計や要件定義まで担当していたのか。

あるいは、お客様と直接打ち合わせを重ねながら業務設計まで行っていたのか。

同じ「システム開発の経験あり」でも、その経験の深さは大きく違います。

業務分析に必要なのは、SE歴の長さではありません。

その業界のシステムを、どれだけ現場で見てきたか。

私は、その経験の差が提案書の質を大きく左右すると考えています。

でも営業マンはお客様には「この業界の経験があるSEですから大丈夫です。」と紹介します。

だから私はいつも思います。

「どのレベルの経験ですか?」

先ほど書いたように、

プログラムを書いた経験なのか。

詳細設計まで担当した経験なのか。

基本設計や要件定義まで担当した経験なのか。

あるいは、お客様と一緒に業務を組み立てた経験なのか。

その違いは、お客様にはほとんど伝わりません。

現状分析書には、こんな言葉が並ぶ

その結果、提案書や現状分析書には、このような言葉が並ぶことがあります。

業務フロー、DX、可視化、最適化、標準化、クラウド。

それらの言葉が、本当にあなたの会社を調査した結果として必要なのか。

あるいは、一般的な提案書にもよく使われる表現なのか。

それは、提案書を読む側が見極める必要があります。

大切なのは、その言葉の多さではなく、

あなたの会社の課題に対する具体的な改善策が示されているかどうかです。

ソフト業界の構造

私は、若いSEを否定したいわけではありませんし、私も若い頃は何も知りませんでした。

問題は、

業務経験が十分ではない人でも、お客様の業務改善を提案する立場になることがある。

というソフト業界の構造です。

だから私は、現状分析書より先に、

「担当SEは、どの業種のシステムに、どのような立場・役割で携わってきたのか?」

ぜひ、その点も確認してほしいと思います。

「無料だから受ける」のではなく、

何のための調査なのか、そして誰が調査を担当するのか。

その背景を理解したうえで判断することが大切だと、私は考えています。

例えば、

倉庫の現場担当者と専門的な打ち合わせを重ね、一緒に改善策を考えてきた10年目のSEなのか。

在庫管理システムのプログラムや仕様書の作成を中心に10年間携わってきた10年目のSEなのか。

同じ「10年目のSE」でも、経験してきた内容によって、現状調査や提案の視点は大きく変わります。

そうした点を踏まえて提案書を読めば、その投資が自社にとって本当に価値のあるものかどうかも、

判断しやすくなるのではないでしょうか。

では、経営者は提案書のどこを見れば、その価値を判断できるのでしょうか。

第3話では、「提案書は誰のために作られているのか。」について書いてみようと思います。

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