ソフト会社って何なん?(第4話)見積書はどう読む
「見積書」はどう読む?
2通の見積書
現状調査が終わり、提案書の説明にも納得すると、営業マンは再び会社を訪れます。
「こちらが今回のお見積りです。」
そう言って机の上に並べられるのは、一通ではなく、二通の見積書であることが少なくありません。
一つは、ソフト会社が必要と判断した機能を盛り込んだプラン。
もう一つは、機能をある程度絞ったプランです。
車で言えば、「フル装備」と「標準装備」のようなイメージでしょう。
営業マンは、
「こちらがフル機能のプランです。」
「こちらは必要最低限の機能に絞ったプランです。」
と説明します。
見積書を見ると、
500万円です。
もう一枚は、
350万円です。
その瞬間、多くの経営者の意識は、内容よりも金額へ向かいます。
「150万円安いなら、こちらの方がいいかな。」
「もう少し安くならないだろうか。」
そう考えるのは、経営者として当然のことです。
しかし、私が30年以上この業界で見てきた中で感じるのは、ここで考える順番が逆になってしまうことです。
本来、最初に確認すべきなのは金額ではありません。
自社が実現したい目的に対して、この見積書がどのような構成で組み立てられているのか。
そして、
その構成は、本当に目的を実現するために妥当なのか。
そこを理解し、確認することが先です。
ところが、一度金額の比較が始まると、
「500万円を350万円にできないか。」
という話になり、本来確認すべき見積書の構成がおろそかになってしまうことがあります。
だから私は、見積書を受け取ったら、まず金額を見るのではなく、
「この見積書は、自社が求める目的を実現するために、どのような構成で組み立てられているのか。」
そこを確認していただきたいのです。
見積書の内訳
では、見積書には、どのような内容が書かれているのでしょうか。
ソフト会社によって多少の違いはありますが、多くの見積書は、大きく次の三つで構成されています。
- ハードウェア
- ソフトウェア開発
- 保守・サポート
1.ハードウェア(導入購入費)
システムを動かすために必要な設備や機器です。
パソコンやサーバー、バーコードリーダー、プリンター、ネットワーク機器などがこれにあたります。
つまり、「システムを稼働させるための設備」です。
2.ソフトウェア開発(開発人件費)
お客様が実現したい業務をシステムとして形にするための費用です。
SEやプログラマが、業務調査、設計、プログラミング、テストなどを行うための人件費が主に含まれます。
多くの場合、この項目が見積書の中で最も大きな割合を占めます。
3.保守・サポート(維持管理費)
システムは開発して終わりではありません。
導入前のデータ移行や操作教育、導入後の問い合わせ対応や障害対応、プログラム修正など、運用を支えるための費用です。
会社によっては、これらの一部がソフトウェア開発費に含まれている場合もあります。
本当に確認すべきこと
ここまでが、多くの見積書に書かれている基本的な構成です。
一見するとシンプルな見積書ですが、この三つの項目の中に、経営者が知っておくべき判断ポイントが数多く隠れています。
しかし、私がお伝えしたいのは、「ハードウェア」「ソフトウェア開発」「保守・サポート」という項目名を見ることではありません。
その内容が、自社の目的を実現するために、本当に必要な構成になっているのか。
そこを確認することが大切です。
見積書には、
今の会社には十分すぎる性能の機器が含まれているかもしれません。
将来の拡張を前提として、今は必要のない設備まで含まれているかもしれません。
あるいは、将来使うかもしれない機能を見据えた構成になっているかもしれません。
もちろん、それが悪いということではありません。
しかし、それが
「今の自社に必要な投資なのか。」
それとも、
「将来を見据えた提案なのか。」
その違いを理解したうえで判断することが、経営者にとって大切な経営判断になります。
見積書は、金額だけを見る資料ではありません。
「何に対して、いくら支払うのか。」
そして、
その構成が、自社の目的を実現するために本当に妥当なのかを判断する資料なのです。
次回予告
次回、第5話では、「ハードウェアの見積の読み方」を取り上げます。
私が38年間、システム開発の現場で見てきた中で、
「社長さん、これだけ知っておけば損をしませんよ。」
そんな、38年間の現場経験で培った「入れ知恵」をお届けします。
※本記事は、筆者が30年以上システム開発の現場で経験した内容や考え方をもとに執筆しています。
すべての企業や案件に当てはまるものではありません。