ソフト会社って何なん?(第7話)ハードウェアはどう導入する?
機械を買っただけでは使えません
第6話では、情報システムへの設備投資は、設備そのものから考えるのではなく、会社の経営方針から考えること
が大切だというお話をしました。
今回からは、見積書に書かれている具体的な項目について、38年間システム開発の現場で経験してきたことを
もとにお話ししたいと思います。
今回は、その中でも見積書によく書かれている
「ハードウェア導入費用」
についてです。
見積書を見ると、
「サーバー 一式」
「ハードウェア導入費用」
という項目が並んでいることがあります。
経営者からすると、
「サーバーを購入したのだから、そのまま使えるのではないか。」
と思われるかもしれません。
しかし実際には、購入した機械は、そのままでは業務で使うことはできません。
サーバーを設置し、
内部記憶装置(SSDやHDD)を取り付け、
OSをインストールし、
必要なソフトウェアを組み込み、
ネットワークを設定し、
システムが正常に動作することを確認する。
こうした作業を行って初めて、会社で利用できる状態になります。
この作業全体をまとめたものが、
「ハードウェア導入費用」
です。
導入費用が発生すること自体は、決して珍しいことではありません。
メーカーが行うのか、ソフト会社が行うのか
ここで経営者が知っておきたいことがあります。
同じハードウェア導入でも、
メーカーへ依頼する方法と、
ソフト会社へ依頼する方法があります。
どちらが正しいという話ではありません。
メーカーによる導入は、メーカー自身が作業を行うという安心感があります。
一方で、その分、導入費用は高くなる傾向があります。
反対に、ソフト会社が導入する場合は、比較的費用を抑えられることがあります。
では、メーカーへ依頼した方が絶対に安心なのでしょうか。
実は、そう単純な話ではありません。
導入費用だけではなく、
保守や保証の内容も、それぞれ違ってくるからです。
保証されるもの、保証されないもの
メーカー保守契約に加入している場合は、契約内容に応じて、
ディスク装置、
電源ユニット、
メモリなど、
ハードウェアが故障した場合に、部品交換などの対応を受けられることがあります。
一方、ソフト会社が導入した場合は、メーカー保守契約の有無や契約内容によって対応が異なります。
しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。
メーカーへ依頼する場合でも、
ソフト会社へ依頼する場合でも、
会社の業務データやシステムそのものまで保証されるケースは多くありません。
契約内容によって違いはありますが、
「ハードウェアの保証」と、
「会社の業務を元どおりに復旧させること」は、別の話なのです。
だからこそ、契約するときには、
「何が保証され、何が保証されないのか。」
この点を確認しておくことがとても重要です。
私自身が経験したこと
私自身も、情報システム部門の責任者として、多くのサーバー更新や障害対応を経験してきました。
その中で、今でも忘れられない出来事があります。
新しく導入したサーバーが故障し、メーカーへ修理を依頼したことがありました。
ところが、部品の手配などもあり、復旧までには時間が掛かることが分かりました。
しかし、会社としては何日も業務を止めるわけにはいきません。
そこで私たちは、保管していた中古のサーバーを用意し、バックアップからシステムを復元しました。
その結果、約一時間で業務を再開することができました。
故障したサーバーは、その後メーカーで修理してもらいました。
しかし、会社にとって本当に重要だったのは、サーバーを修理することではありません。
一日でも早く業務を再開すること。
それが会社にとって最も重要なことでした。
この経験から、私は設備投資に対する考え方が大きく変わりました。
止めないための投資か、早く復旧するための投資か
設備投資には、大きく二つの考え方があります。
一つは、「システムを止めないための投資」です。
サーバーを二重化し、高度な保守体制を整え、障害が発生しても業務を継続できる仕組みを作る考え方です。
もう一つは、「止まることを前提に、できるだけ早く復旧できる仕組みを作る」
という考え方です。
確実なバックアップを取り、万一故障したときには別の機械へ復元し、短時間で業務を再開することを重視します。
私が38年間の現場で経験してきた中では、中小企業では後者の考え方が現実的なケースを数多く見てきました。
では、どちらを選べばよいのでしょうか。
自社の操業事情と会社の体力
その答えは、会社によって違います。
二十四時間三百六十五日止めることができない会社もあります。
一方で、夜間や休日であれば対応できる会社もあります。
また、十分な設備投資ができる会社もあれば、限られた予算の中で経営を行う会社もあります。
つまり、
「止めないために投資する」のか。
「早く復旧するために投資する」のか。
その判断は、
自社の操業事情と会社の体力によって決まります。
限られた予算の中で、一つひとつの設備投資が経営へ大きく影響する中小企業では、
「メーカーだから安心。」
「高いから安心。」
そう考える前に、一度だけ立ち止まってみてください。
「この投資は、自社の操業事情と会社の体力に本当に合っているだろうか。」
その視点で見積書を見直すだけで、設備投資の考え方は大きく変わるはずです。
設備投資は、高価な設備を導入することではありません。
会社に合った設備を選ぶことです。
次回予告
今回お話ししたように、ハードウェアは故障する可能性があります。
しかし、本当に会社を守るのは、高価な設備だけではありません。
次回は、多くの会社が導入している「バックアップ」についてお話しします。
バックアップ装置は、多くの会社で導入されています。
しかし、「何をバックアップするのか」「どのように運用するのか」まで考えられている会社は
決して多くありません。
38年間の現場経験をもとに、中小企業が本当に考えるべきバックアップについてお話ししたいと思います。
※本記事は、筆者が38年間システム開発の現場で経験した内容や考え方をもとに執筆しています。
すべての企業や案件に当てはまるものではなく、一つの考え方として参考にしていただければ幸いです。