ソフト会社って何なん?(第9話)保守契約とは?
保守料とは?
これまで数回にわたり、見積書に書かれている「ハードウェア」「導入費」「バックアップ」についてお話ししてきました。
今回は、多くの経営者が意外とよく分からないまま契約している「保守料」についてお話しします。
見積書には、
- 保守契約
- 保守サポート
- システム保守
などの項目が書かれています。
毎月数万円、年間では数十万円という金額になることも珍しくありません。
しかし、その保守料で何をしてくれるのかを、きちんと理解した上で契約している会社は、
意外と少ないのではないでしょうか。
実は、一口に保守契約といっても、大きく三つに分けることができます。
保守契約の種類
① ハードウェアの保守
一つ目は、サーバーやパソコンなどのハードウェアに対する保守契約です。
故障した部品を交換したり、修理したりする契約で、家電製品の延長保証をイメージすると分かりやすいでしょう。
何をしてくれる契約なのかも比較的明確です。
② パッケージソフトの保守契約
二つ目は、会計ソフトや給与ソフトなどのパッケージソフトの保守契約です。
法改正への対応、不具合の修正、バージョンアップなどが保守料に含まれています。
こちらも契約内容が分かりやすく、「保守料を払う理由」が理解しやすい契約です。
③ オリジナルシステムの保守契約
そして三つ目が、ソフト会社が自社で開発したオリジナルシステムの保守契約です。
今回、私がお話ししたいのは、この保守契約です。
この保守契約には決まった形がありません。
そのため、ソフト会社によって内容は大きく異なります。
もちろん、定期的に訪問して点検を行い、改善提案まで実施している会社もあります。
しかし一方で、障害が発生したときに電話やリモートで対応するだけという契約もあります。
これは良い悪いの話ではありません。
契約内容が違うだけなのです。
保守料を払っているから安心
このように考えている経営者の方は少なくありません。
しかし現実には、保守料を支払っていても、
「何も問題が起きなければ、何も行われない」
という契約も数多く存在します。
私も38年間、さまざまな現場を見てきました。
年間20万円ほどの保守料を支払っていても、実際には年に一、二回、電話で問い合わせを受ける程度だった
というケースもありました。
定期訪問もない。
設備の状態確認もない。
エラーログの確認もない。
バックアップの確認もない。
システムの改善提案もない。
そして、その結果についての報告もない。
もちろん、そうした契約内容で双方が納得しているのであれば問題はありません。
問題なのは、経営者が「いろいろ見てもらっている」と思い込んで契約している場合です。
一番大切なのは契約内容です
保守契約を結ぶのであれば、ぜひソフト会社に確認してください。
この保守料で、
- 何をしてくれるのですか。
- どれくらいの頻度で行うのですか。
- 誰が対応してくれるのですか。
- 作業した結果は報告していただけますか。
例えば、
- 毎月一回訪問して点検する。
- サーバーの状態を確認する。
- バックアップが正常に取得されているか確認する。
- OSやソフトウェアの更新状況を確認する。
- 改善点があれば提案する。
このような内容が契約書に明記されていれば、保守料の意味はとても分かりやすくなります。
反対に、「保守契約があります」という言葉だけで内容が曖昧なまま契約してしまうと、本当にその会社に
必要な保守だったのか判断することはできません。
保守料とは障害予防のための作業契約料
保守契約は決して悪いものではありません。
会社のシステムを長く安心して使っていくためには、とても大切な契約です。
だからこそ、経営者が確認すべきことは保守料の金額ではありません。
「この保守料で、何をしていただけるのでしょうか。」
その内容をお互いに確認し、納得したうえで契約することが大切です。
保守料とは、毎月支払う安心料ではありません。
障害を未然に防ぎ、システムを安定して運用するために、どのような作業を行うのかを約束する契約料です。
また、保守料の金額とサービスの質は、必ずしも比例するものではありません。
会社とソフト会社の双方が、「何を行うのか」をしっかり確認し、納得したうえで契約を結ぶことが、
最も大切なのです。
次回予告
次回の第10話は「セキュリティ」について触れてみたいと思います。
「セキュリティを強化しましょう。」
最近、この言葉を耳にする機会がとても増えました。
しかし、セキュリティとは高価な製品やサービスを契約することなのでしょうか。
次回は、中小企業の経営者が知っておきたい「セキュリティの実情」について、38年間の現場経験をもとに
お話ししたいと思います。
※本記事は、筆者が38年間システム開発の現場で経験した内容や考え方をもとに執筆しています。
すべての企業や案件に当てはまるものではなく、一つの考え方として参考にしていただければ幸いです。